加計呂麻島の芝(しば)集落へ向かいました。
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お目当ては、伝統行事の「バッケバッケ」。
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以前勤めていた職場で一緒だった芝出身の女性が
「うちのシマでは、子ども達が夜にお菓子をもらって回る
ハロウィンみたいな行事がある」と聞いていて、
ぜひ一度見たい!と思っていた行事でした。
台風の被害でいたるところが通行止めの加計呂麻島。
この日は古仁屋港から海上タクシーで直接、芝へ。
午後7時。
芝の港に着くと、
暗闇の中から「ドン、ドン、ドン。ドン、ドン、ドン」と、
チヂン(太鼓)の音が響いてきました。
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集落の道を、チヂンを叩く人や松明を持った人が先導し、
子ども達は、歌をうたいながら歩いて家々を回っていきます。
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♪ バ~ッケ バッケ トゥーティブリ ムレガトゥ キャーオタッスカ
アタラシャンティム クリッタボレ
~(囃子) アラドンドンセ アライクシャンセ~
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歌詞の意味は
♪ おばさん おばさん カボチャを もらいに 来ましたよ。
もったいなくても くださいな
なんと歌詞に「カボチャ」というフレーズが!
まさにハロウィン?かと思いきや、
実はこの行事の成り立ちからきています(それは後ほど)。
あと「バッケ」は「化け物」の意味かと思ってましたが、
「おばさん」の意味だったんですねー。
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目的の人の家に着いて、
玄関口や庭先などでさらに歌います。
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そこで、チヂンのリズムは激しくなり、
みんなでいっせいに六調を踊ります。
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そうすると、家の中から人が出てきて、
準備していたお菓子を子ども達にくれるのです!
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子ども達は一斉に「ありがとうございましたーー!」と元気な声で言い、
また「♪バ~ッケバッケ、トゥーティブリ ムレガトゥ~」と
歌いながら次の家に向かって行きます。
約2時間、芝の43世帯(人口80人)ほぼ全部をくまなく回って、
袋いっぱいに、どんどんお菓子がたまります。
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このバッケバッケは、もともと旧暦八月初丙のアラセチ前夜に行うものでした。
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かつては人が多かったため、
イルイ(西)、アガレ(東)の二組に分かれて、大人が各家を回り、
歌詞のとおりカボチャやお米などをティル(竹製の籠)に入れて集めたのだそうです。
集めたものをその晩中に料理して、次の日の豊年祭に出して豪華さなどを競っていました。
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それが人口減少などいつの間にか、
子どもが主役の行事となったよう。
現在区長をしていらっしゃる橋口さんが子どものころも
すでにお菓子をもらう行事だったとか。
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なんと今年は、橋口区長さんが子どもの頃にやっていた
クバ(和名:ビロウ)の葉っぱでお面と腰ミノを作って
仮装したバッケバッケを40年数年ぶりに復活。
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仮装した子ども達が、なんとも可愛らしかったです。
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集落のみなさんたち、大人も子どもも
バッケバッケを本当に楽しみにしているのがよーく分かります。
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迎える家の方々がみんなニコニコ。
子ども達が六調を踊るのを本当に楽しそうに見ています。
子ども達が見えなくなるまで
チヂンを叩いて見送るかたも。
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この芝集落にいる子どもは2人。
中2のあゆみちゃんと、中1のまなみちゃんだけ。
いつもは他の所に住んでいる芝出身者も子どもを連れて来るそうなのですが、
今年は道路事情が悪いために、
子どもの参加人数もいつもより少なかったようです。
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それでも、薩川小学校・薩川中学校の9名(2名は道路が通行できず来れなかったそう)が参加。
いつもは静かな集落に子どもの声が響いていました。
最後は公民館に集合。
ここでまた歌い、六調を踊って〆。
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さぁ! お待ちかね。
集まったお菓子をみんなで分けます。
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リーダーは中学生のお姉さんたち。
お菓子の山を目の前に、
男子は、じっとガマン。
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子どもにとっては「夜遅くまで起きてられる! お菓子がいっぱいもらえる!」と、嬉しいことづくし。
芝を離れて暮らしている出身者も、
「バッケバッケは、ぜひとも自分の子どもに体験させたい」と言う楽しい行事。
こういった思い出が、育ったシマの楽しい記憶となるのでしょうね。
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芝集落のみなさん、
薩川小学校・薩川中学校の関係者のみなさん
ありがとうございました!
2012.10.6
瀬戸内町 加計呂麻島 芝
S.B.I (瀬戸内町 文化遺産 活用実行委員会) 広報K
鹿児島県 奄美大島 瀬戸内町立図書館・郷土館内