油井 子ども餅つき大会

2012年12月17日 | 関連する集落:油井
12月16日(日)、油井小・中学校で
「子ども餅つき大会」がありました。

油井小・中学校は、
現在、小学校に12名・中学校に5名が在籍する併設校。

子どもたちは、集落の田んぼでお米作りの体験学習をしており、
今回はその田んぼで収穫したもち米をつかっての餅つき大会。

今年34歳の父兄が小学生の時もやっていたという、
油井集落にとっては、ずっと続いている大切な行事です。
 


瀬戸内町の中心部・古仁屋から
車で約15分の油井(ゆい)集落。

旧暦8月15日の十五夜豊年祭で披露される
「油井の豊年踊り」が鹿児島県の無形民俗文化財に指定されており、
集落をあげてこの伝統芸能を守り続けています。

油井の豊年踊りは、
稲作作業を終え、豊年を神々に感謝し祝う行事。
稲刈りや稲摺りなど稲作の一連の作業をユーモラスに、
そして華やかに芸能化したものです。
 

▲学校のすぐそばある看板。ここにミャー(広場)と土俵があり、「油井の豊年踊り」は披露される


奄美大島では現在ほとんどされていない稲作。
油井では、十五夜豊年祭の日に使用するもち米や、縄の材料となる藁などのために
集落で田んぼを持っています。

この田んぼで作られているのは、すべてもち米。

豊年踊りで使用する縄をなうための藁は、
うるち米よりも、もち米の藁のほうが長くて適しているのだそう。

収穫したもち米は、豊年祭で赤飯にして振る舞い、
あとは子ども餅つき大会で食べたり。
余れば集落のみなさんで分配しています。

    *        *

子どもたちは学校近くの須佐礼(すされ)にある田んぼで、
集落のかたがたに教えてもらいながら、
4月下旬の田植えに始まり、田んぼで泥んこになりながらの草取り、
7月末に稲刈り、8月には脱穀も体験。

籾や藁のくずを飛ばす唐箕(とうみ)を使ったり、縄をなうなど、
昔ながらのさまざまな作業を経験して、収穫したもち米を食べる機会を迎えました。
 



この日は、もち米17kgを使用。
子どもたちがそれぞれ家に持ち帰って水に浸して、
朝持ってきたものを次々とお母さんがたが蒸していきます。
 



子どもたち全員が餅をついていきます。
 


中学生ともなると、もう慣れたもん。


つきあがったお餅は、体育館の中で
どんどん丸めて。


卓球台がテーブルに早変わり。


粘土遊びみたい!?


次のもち米が蒸し上がるまでの間、遊びまわります。
お兄ちゃんが、ちゃーんと年下の子をみてあげているのがエラい!


油井の子ども育成会長の増さんも餅つき!
「ムラのかたが、田んぼの管理などがんばってくださってこのような行事ができる。
入学を待っている子どももいっぱいだし、
みんなおにいちゃんおねえちゃんを尊敬しているんですよ」


女の子も上手!


入学前の子どもたちもいっぱい。


校長先生に優しく助けてもらいながら、餅つき体験です。


内地のみなさん、間違いなく12月です!
この日は最高気温23℃で日差しが強かったんです。


餅つきをしている間に、門松づくりも行なわれました。
お父さん・先生と一緒に、中学生も竹を割ったり。


竹を均一の長さにしていきます。


オイル缶の周りにつけて、これが門松の土台に。
 
 


松、笹、ゆずり葉を添えてできあがりです。


みなさんが分担して作業している間に、
つきたてのお餅がどんどんできあがっていました!


女子は、お餅の味つけ。
砂糖醤油、きな粉、おろしポン酢の3種類。


つやつやピカピカのお餅たち!


みんなで一斉に「いただきまーす!」


われわれもいただきましたが、
つきたてのお餅は、柔らかくもありコシもあって
むっちりしてて本当に美味しかったです!
 
 
 
 
 



「油井の豊年踊り」は何度か観に行ったことがあり、
「まだ観たことがない」と言う人には、とにかくおすすめしている好きな伝統芸能。
ですが、恥ずかしながら使われているもち米や藁のために
集落が稲作をしているとはまったく知りませんでした。
 



油井の豊年踊りは、若い人たちが多く参加し、
集落の一体感を感じる行事。

それは、こうして子どもの頃から、
日常的に素晴らしい技術を学ぶ機会があり、
伝統行事を支えるシマの人々の気持ちに触れているからこそ
自然と身についていくのでしょうね。

先日開催された「子ども島口・伝統芸能大会」でも、
油井小学校の子どもたちは、
油井の豊年踊りを見事に演じていました。
 



学校・保護者、そして集落が一体となって、
子どもたちに教えていくことで集落の伝統が継承され守られている。

集落の伝統、シマの結(ゆい=助け合い)の力、食べものができる過程、
さまざまなことが学べる油井ならではの体験学習でした。
 


今年は残念ながら、
台風の影響で中止になってしまった油井の豊年踊り。

「今年は豊作だっただけに、中止はとっても残念だった」と油井集落の区長さん。

来年は、田植えなど稲作作業に参加し、
油井の豊年踊りや餅つきまで、
集落の一年の姿を記録できれば、と思います。


油井小・中学校のみなさん、
保護者のみなさん、
ご協力いただきありがとうございました!





2012.12.16

瀬戸内町 油井

S.B.I (瀬戸内町 文化遺産 活用実行委員会) 広報K

鹿児島県 奄美大島 瀬戸内町立図書館・郷土館内