ウケユリを見に行こう!!

2013年06月25日 | 関連する集落:請島・池地

平成25年6月13日 瀬戸内町で
「奄美群島文化財保護対策連絡協議会」が開催されました。

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この会は、奄美群島の各市町村で、日頃より文化財の保護に係わっている人たちが、
文化財に関する情報や問題点を共有し、協力して保護・活用、そして啓発に努めよう!という目的で開催されています。



毎年、各市町村が持ち回りで開催。
今年は、瀬戸内町の番でした。



各地の文化財保護の方々が集まるということで、
我ら「あまみヒギャジマン プロジェクト」も、前年度の成果を展示させていただきました。

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なかなか好評で、展示を見た方々と、各地の文化遺産について話に華が咲きました!!





午前は、
「地区文化財行政の重点施策等について」
「奄美遺産」、
「文化財保護行政の現状と課題」
について研修や説明がありました。





昼食中、平成23・24年度に作成した「文化遺産の映像」を見たいとの要望が有り、試写を行いました。

文化遺産の映像を見ていただきながら、




シマ自慢の「つきあげ」や

130613奄文連003つきあげ




「かりんとう」、

130613奄文連004かりんとう




「ふてぃむち」&「りゅうびもち」!

130613奄文連005ふてぃむち
食の文化遺産もご賞味いただきました!!





さて、午後は、
「瀬戸内町の文化財保護の現状と課題について」 という演題で、

瀬戸内町文化財保護審議会の徳元(寺本)薫子さんが報告。

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的確でまとまった報告に、県の文化財担当者や各地の委員も納得。
徳元さんの報告によって、瀬戸内町だけでない「地区全体の現状と課題」が浮き彫りにされました。
会の方向として、今後も連携して対応にあたる、ということで一致しました。
地区の文化財は、徳元さんのような方々と地域住民の皆さんにより守られている、ということを再確認した報告でした!





その後、午後2時20分から「現地研修」を開始。

「瀬戸内町の天然記念物について」と題し、船で、「請島」へ向かいます。

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請島に行ったことのない方がほとんどのようで、皆さん、現地研修に参加していました。
心配していた台風もそれ、絶好の現地研修日和です。



請島までの船旅中、町外の委員の方々は、「潮吹き岩」や「海に落ちる滝」などにも興味津々。
瀬戸内町で当たり前の風景が、大事な文化遺産であることを再認識しました。




さて、今回の請島での、我々の目的のメインは、
請島のウケユリ自生地」の視察です。

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ウケユリは請島最高峰の「大山」に自生しているユリです!




案内していただいたのは、「池地みのり会」のみなさん。
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※左側に並んでいる方々が「みのり会」の皆さんです。
 

「池地みのり会」のみなさんは、集落作業から文化財保護まで
集落の活動に幅広く活躍されている団体です。

 

 

そして、今回の目玉!「ウケユリ」の登場です!!

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カサブランカのおじいちゃん?ということもあって、
 今回も、大輪の綺麗な花を咲かせてくれていました。
 香りも最高です。

 


 4つのつぼみを持つものや

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5つも!つぼみをつけたものも!!

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この5つ子ユリ、みのり会の方々も珍しいと喜んでいました!

 

 


この、「ウケユリ」、請島の他にも自生地はあるのですが、
 県の指定になっているのは、「請島(大山)の自生地」のみ!
ウケユリが「請島のユリ」だからということだけでなく、
 地元団体「みのり会」が適切に保護・管理を行っているからこそ!

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そして、「入山申請」をしてからでないと、大山へは入れない、という保護体制があるからなのです。
※ウケユリ自体は、希少野生動植物に指定されています。
  他地域に自生するウケユリも採取禁止です。罰則もあります。

 

しかし、それでも希少種の盗掘・乱獲は絶えません…

隊長鼎は、自然の中で見るからこそ、その動植物の素晴らしさを実感できるのではないかと思います。
 現地に赴き、自然のままで見る動植物の美しさや生態系の貴重さを感じて、大切にして行って欲しいものです。

 

 

さあ、集落へ戻って、他の文化遺産の視察です。


 門柱の魔除けとしては珍しい、トウカムリ。

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 隊長が、個人的に注目しているゴホウラを、たくさん飾っているお宅ありました。

 

 

あと、池地小中学校にある、国の登録有形文化財の「池地小学校旧奉安殿」

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 今は、どのように使われたものなのか、生徒たちも知らないかもしれません。

 


 今回の「瀬戸内町の天然記念物について」の請島視察。
 予定時間を軽くオーバー!

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それでも、参加された皆さんからは、楽しい!まだまだ見たい!!と言っていただけました!!
 本当に、シマは宝の宝庫です。

これからも、続いてほしい風景です…

 

 

番外編

 今回の地面を視ている人々

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この方々、隊長鼎の仲間で、考古学担当の皆さん。
 花より石?

 

 実は、この石。
 「チャート」という古い生き物が積もってできた石なのです。
ガラスの様に鋭く尖り、非常に硬いため、昔の人々が矢じりなどの石器に使っていたものです。

 皆さん、良さげな石を探しています。
きっと持ち帰って、石器作りをするのでしょうね!
(隊長鼎も、少しですが「考古学的 石のコレクション」 持ってたりします・・・)


ちなみに、この「チャート」と「ウケユリ」不思議なことに同じ場所にあるのです。
おそらく、チャートのある場所は、断崖絶壁になりやすく、
ユリ根が大好きなヤギやイノシシも、そう易々と登れないからなのでしょう。


 請島のウケユリは、
 現在は人の手によって守られています。
ですが、今現在までウケユリが種として残ってきたのは、他でもないその自然地形に因る所が大きいでしょう。

あるがままの自然をできる限り残していくこと。
 次の世代にも「ウケユリ」のような素晴らしい遺産を見てもらいたい!

 実践するのは難しいけれど、その思いを原動力に、今後の文化財保護行政に活かしてもらえたら・・・と改めて思いました。

 

 

 

 


2013.6.13 瀬戸内町 古仁屋

S.B.I (瀬戸内町 文化遺産 活用実行委員会) 隊長鼎

 鹿児島県 奄美大島 瀬戸内町立図書館・郷土館内